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【会計士Xの裏帳簿】マイナンバー業務で税理士と社労士の住み分けはどうなる?

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2015年10月から通知されるマイナンバーの話題がにぎやかになってきました。情報流出など、ネガティブな面についてはコラムでも何度か取り上げてきましたが、士業の間では「業務の幅が広がるのでは?」という期待の声があるのも事実です。そんな中、マイナンバーと士業の役割について考えさせられる出来事がありました。

またまた業際問題?

日本税理士会連合会(日税連)は、全国社会保険労務士会連合会(全社連)に対し、全社連の機関誌「月刊社労士(2015年5月号)」に掲載されたマイナンバーに関する記事に訂正を求めたのです。

問題となったのは、「賃金計算事務と年末調整」という欄にあった「賃金計算事務の延長線上にある年末調整事務についても、法定調書の作成及び税務署への届出を除いて、社労士(法人)が行うことのできる業務」と言及した部分です。

日税連は全社連と2002年6月、「税理士又は税理士法人の付随業務の範囲に関する確認書」を取り交わしています。この中で「年末調整に関する事務は、税理士法第2条第1項に規定する業務に該当し、社会保険労務士が当該業務を行うことは税理士法第52 条に違反する」としており、この取り決めに反すると申し入れたのです。

現場を迷わせる年末調整の実務

賃金計算、社会保険に関する書類作成は社労士の主要な業務。それらの業務では、年末調整と関連する賃金の情報を扱うことになります。給与情報を入力した後、どのような業務が税理士の独占業務である「年末調整に関する事務」に該当するのかは微妙。実際は、給与計算ソフト等の操作で簡単に書類作成が出来てしまうのも事実です。

税理士もまた微妙な立場。上記の確認書では、税理士業務が行える社会保険に関する業務は「租税債務の確定に必要な事務」の範囲内のものとされています。社会保険料控除に関する業務のことだと思われますが、実務上は社労士業務との境目は分かりにくいものです。その曖昧さが今回、マイナンバーの話題で再燃したというわけです。

マイナンバー導入後も「グレーゾーン」でソワソワ

とはいえ、今回の社労士の記事自体は、大した問題ではないと思います。「ちょっと勇み足をしてしまった」といった印象です。日税連としても、「現場でいろいろあるのは分かっているけど、そうハッキリ書かれては抗議せざるを得ないよな」といった気持ちなのではないかと勝手に想像しています。

マイナンバーは、社会保障と税の一体的な管理を目的としていることから、番号に関する業務も必然的に税理士業務と社労士業務を横断することになります。個人的には、社労士の皆様には「面倒なことも多いですが、お互い頑張りましょうね」と言いたい気持ちです。

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