8月18日から3日間行われた平成27年度(第65回)税理士試験。今年も、近年の傾向となっていた受験者の減少が顕著にみられました。申込者数は4万7,145人で、前年度の4万9,876人から、2,731人、約5.5%の減少を記録しています。
税理士を志す人がどんどん減っている
前回、平成26年度試験の申込者は、前々回の5万5,332人から4万9,876人と、5,000人以上、約1割減少しています。そして、合格者(最終合格者と一部科目合格者の合計)も、8,348人から6,909人と大幅に減りました。
今年度は、前回よりも受験者の減少率は低下していますが、合格者が減ることは間違いないでしょう。そして、中長期的には、近年1,000人を割り込んでいる最終合格者の減少がさらに顕著になってくるはずです。
その裏付けとなるデータが、新たに税理士を志す人の減少です。ここでは、受験者の多くが初めに受験する簿記論・財務諸表論が参考になります。今年度の試験の、科目別受験申込者数をみると、簿記論は2万3,135人から2万1226人(8.3%減)、財務諸表論が1万8,268人から1万6,967人(7.1%減)。全体の減少率(6.1%減)よりも高い数字となっています。
ついに来る? 税理士減少時代
税理士の数は、例年、新規登録と抹消とでは、登録者数のほうが多く、ほぼ毎年増加し続けています。しかし、高齢化により少しずつ抹消が増加しているため、登録者と抹消者の差は、ゆっくりと縮まっています。そして、待ち受けるのは税理士減少時代です。
日本全体で人口減少が取りざたされるなか、それ自体は避けられないことであり、また必ずしも避ける必要はないことかもしれません。税理士会も、税理士数を増やす、あるいは維持することだけを自己目的化するのではなく、社会の変化に合わせ、業界の在り方を考えていかなくてはならない時期に来ているのでしょう。
若手税理士・受験者は自信を持って活動を
税理士減少は、税理士志望者の方々にとって必ずしも悪いニュースではありません。現在、会計事務所、税理士法人などでは、若手税理士の応募がしにくくなっている状況があり、それに伴い、求人内容では、給与等の待遇の向上もみられるからです。
私は当連載を通して、税理士・会計士として働くことの素晴らしさを、メッセージとして送り続けてきたつもりです。若手税理士の皆様、また税理士を目指す皆様には、業界が大きく変わりつつある今だからこそ、新しい時代の税理士像を作り上げるという気概を持って活動を続けてほしいと思います。
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