国税庁は7月1日、相続税等の財産評価の基準となる、平成27年分の路線価を発表。全国の路線価の平均値は、前年比0.4%マイナスで、7年連続の下落となりました。しかし、下げ幅を見ると、前年比0.3ポイント縮小。そして、大都市を中心に、上昇傾向が顕著に見られる結果となりました。
回復傾向の中、大都市での上昇は顕著
都道府県別に見ると、最も上昇率が高かったのが宮城、次いで福島。震災による大幅な地価下落からの回復が見られます。そのほか東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、京都、大阪、沖縄を含む10都府県がプラスとなりました。
都道府県庁所在地別に見ると、上昇は21都市で、前年の18都市から増加。そのうち、東京や大阪、名古屋、広島では10%を超える上昇率となりました。横ばいあるいは下落した地域でも、地方都市の中心地では上昇傾向が強く見られ、二極化の傾向も見られたようです。
地価上昇は、2013年からの株式等の資産価値上昇、大企業を中心とした業績アップと賃金上昇、2020年の東京オリンピック等によるポジティブなマインド等が要因と考えられます。また、円安によって外国からの不動産投資が増加したことも大きなプラス要因でしょう。
読めぬ動向 税理士もタイムリーな情報を
現在、資産価格については、ギリシャの債務問題、中国株式の乱高下で不安定な様相となっています。また、通貨不安による円高の動きも考えられます。不動産の価格の変動が激しくなり、路線価と実勢価格のかい離が大きくなる可能性もあります。これは当然、相続対策にも影響します。保有する不動産が、将来どのような評価額となるかによって、相続税に関して打つべき対策は異なってくるでしょう。
また現在、節税のため、収益不動産物件を購入する動きも盛んとなっており、地価を押し上げる要素ともなっています。資産価値上昇と相続増税をネタとした不動産会社からの営業攻勢の中、収益物件の将来キャッシュフローと税務両面からの効果を分析することは困難です。多くの資産家が頭を悩ませ、第三者のアドバイスを求めています。
税理士は、不動産の市況や、経済の行く末を読むアナリストではありません。しかし、「1年に1回」の路線価を気にするだけではなく、もう一歩突っ込んで、タイムリーな市場動向をもとにした相続対策のお手伝いをすることが、これからの時代の税理士に求められることなのでしょう。
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