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【会計士Xの裏帳簿】軽減税率、中小企業税制…… 日税連の税制改正建議書を読む

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【会計士Xの裏帳簿】軽減税率、中小企業税制…… 日税連の税制改正建議書を読む

税理士は税のプロとして税務に携わることはもちろん、申告納税の現場の声をもとに、あるべき税制、税法の運用を提言する存在としても影響力を持っています。このほど、日本税理士会連合会に設置された税制審議会が平成27年6月25日、「平成28年度・税制改正に関する建議書」を決定しました。今回はその内容を紹介します。

消費税の複数税率には反対の姿勢

まず、近年日税連が最も力を入れて主張しているのが消費税の単一税率の維持です。現在消費税の10%への増税時をめどにした、軽減税率の導入がなかば決定事項として議論されていますが、日税連はこれに真っ向から反対しています。

建議書で指摘するのは、事業者の事務負担のほか、消費税の逆進性への対応策としての効果への疑問。「(軽減税率の)効果が高所得者により多く及ぶことや、一定の税収確保のためには標準税率を引き上げるなどの措置を講じる必要があることなどから、極めて効率の悪い制度である」とバッサリ切り捨てています。

外形標準課税・繰越控除にも意見

税理士に期待される大きな役割は、中小法人の財務・会計の体制を整備し、安定的な経営に資することです。そのため、日税連は中小法人税制について意見を提出することが多いのも特徴です。

建議書では現在、中小法人の間で懸念材料となっている外形標準課税の課税ベース拡大への反対姿勢が示されました。日税連は「中小法人は、大法人と比較すると財務基盤も弱く欠損法人割合も高い。したがって、担税力の観点から、外形標準課税を中小法人に導入すべきではない」とし、また比較的労働分配率の高い中小法人に外形標準課税が導入されることによる雇用への影響も反対の根拠として挙げています。 また、こちらも中小法人に心配の声が多い、欠損金の繰越控除の控除限度額縮減の議論について、「財政上の要請があるとしても、内部留保が相対的に乏しい中小法人については、現行の制度を維持すべきである」としています。

税理士は最適な税制を考える責務がある

日税連の税に対する基本姿勢は、公平な税負担、理解と納得のできる税制、必要最小限の事務負担、時代に適合する税制、透明な税務行政、の5つです。

もちろん、個別の税制については、税理士の間でも賛否は様々です。税制は往々にして、政党間の政治的な決着によって不合理なもの、現実に即していないものとなることが多いだけに、多くの税理士が共感する租税原則から意見を提出することは非常に重要です。税理士の職域の拡大等の利益を要求するだけではなく、一人一人の税理士が自ら個々の税制をチェックし、議論を深めていく必要があるのだと改めて感じます。

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