会計士・税理士業界で最近ささやかれる若者の「会計離れ」。会計学を専攻する人が減っているとの声は、教育関係者からも多く聞かれるところです。日本公認会計士協会がこのほど発表した「会計専門職人材調査に関する報告書」では、この「会計離れ」の実態がよく表されています。
会計大学院への入学者が減っている
2005年に設立された「会計大学院」。会計のプロフェッショナルを育成するため、早稲田大学や明治大学、北海道大学、立命館大学など全国各地に16校設置されていますが、うち3校が募集停止となっていて、約半数の大学院で定員割れが生じています。不人気の理由は会計士自体に人気がないこと、就職難のイメージが定着してしまったからだそうです。
公認会計士試験の出願者も減少しています。2010年には2万5,000人の出願者がいましたが、2012年には2万人台を割り、現在は1万人程度となっています。
また、長らく会計資格のスタンダードとなっている、日商簿記検定試験の受験者数に異変が見られます。いずれの級も会計士試験と同様、平成 22 年度をピークに減少し、平成 26 年度の受験者も減少しているようです。
会計大学院の定員割れ、公認会計士試験や日商簿記検定試験の受験者数の減少などから、会計学の重要性が認識されていない現状が見て取れます。これは会計人にとっては、なんとも残念で、もどかしい気持ちです。
金融庁の対策が仇となった!?
この事態に金融庁は、2018年をめどに年間2,000~3,000人の公認会計士合格者を出し、公認会計士の数を5万人にするという目標を立てました。そこで2006年に一次試験の廃止に伴い年齢制限をなくし、短答免除制度導入するなどの「新試験制度」を実地した結果、2007年には4,041人もの合格者が出ました。
しかし、2010年には2,041人、2014年には1,102人と毎年減少し続けています。なぜでしょう?
資格取得のための実務経験期間がネックに
その理由は、監査法人が金融危機の際に採用を絞り込み、公認会計士に合格しても約半分の人たちが就職浪人せざるを得なくなってしまったからです。公認会計士の資格を手にするには2年以上の実務経験期間が必要です。一般企業では、実務経験のない合格者を採用することは少ないので就職先がなくなり、合格しても実務経験が積めないという悪循環に陥りました。
近年では、大手の監査法人の採用人数の合計が、公認会計士合格者と同じぐらいになっているので、合格者のほとんどが大手監査法人へ就職しているのではないかと言われています。合格者のほぼ100%が就職できるようになったのはいいことですが、このまま会計学を専攻する学生が減り続けると、いずれ深刻な会計士不足に陥ってしまうかもしれません。政府は何らかの対策を打つ必要がありそうです。
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