企業の管理部門を対象とした採用市場は近年拡大の一途を辿っていますが、その中でも特に採用活動を熱心に行っている地域があります。それが横浜エリアです。
古くから貿易都市として栄え洗練された雰囲気の横浜エリアですが、現在では大手企業、外資系企業、中堅企業など様々なタイプの会社が集うユニークな経済圏を形成しており、転職市場としても注目度が高まっているようです。そこで、今回の会計トピックスでは、横浜エリアの転職・求人動向について最新の情報をお届けしたいと思います。
横浜を中心とした経済圏の特徴
横浜エリアを中心とした経済圏には、日産自動車株式会社や大手エンジニアリング会社として有名な日揮株式会社、千代田化工建設株式会社などがあり、国内でも有数の上場企業が本社を構えています。また、外資系企業や中堅規模の上場企業、非上場ではあっても老舗優良企業なども多く、現在、経理・財務系職種についても活発な採用活動を行っている状況です。
また厚木エリアまで目を向けると大手~中堅自動車部品メーカーの本社兼工場も多く、年商100億円以上の規模を誇るような安定した経営基盤を持つ企業も多く存在しており、管理部門の要である経理・財務系職種の採用には特に力を入れている状況です。
一方で、東京の渋谷や六本木エリアのようにスタートアップのベンチャー企業が勢ぞろいするような市場ではないため、IPO準備企業や成長著しいIT関連企業などは少なく、横浜エリア独特の転職・求人マーケットが形成されているようです。
※東京のように大手上場企業が集う求人市場とは異なり、総じて中堅規模の安定した会社が多いのが横浜エリアの求人市場だと言えるでしょう。
現在の横浜エリアの転職マーケットは売り手市場と化している
上記のような横浜エリアの経済圏においては、業績好調につき管理部門の強化を行う企業が多い状況ですが、実は計画通りに採用が出来ている企業は少ない状態です。その背景には、採用ターゲットとなる即戦力の経理・財務系人材の母数が少ないことと、上記に加えてキャリア志向の経験者の中には東京勤務を希望する方も多く、結果的に地元出身の即戦力層を採用することが難しくなっていることなどが挙げられます。そこで徐々に傾向として表れているのが各企業の“採用基準の緩和”です。
例えば、某大手上場企業の経理職採用の場合「上場企業での勤務経験は必須、連結決算まで対応している方が対象」という採用基準で選考を行っていた会社が、現在では「決算業務経験者であれば応募可能、上場企業での勤務経験があれば尚可」という基準に緩和されていたり、某非上場企業の場合では「経理経験があれば尚可、会計事務所出身者も検討」「決算業務未経験者も検討可能」というように徐々に採用基準の引き下げが進んできています。
上記のような状況を鑑みると、現在の横浜エリアの経理・財務系職種の転職市場は売り手市場と化していると言っても過言ではありません。
横浜エリアの経理・財務系求人と年収水準
横浜エリアの経理・財務系職種の年収水準は、意外にも東京の水準と大きく変わらないようです。例えば、若手経理スタッフの場合は400万円代が多く、経理課長クラスであれば500~600万円、上場企業の経理担当者であれば700万円前後のオファーが出るケースも珍しくなく、経理部長やCFOクラスのポジションになると900~1000万円程度の提示もあるようです。尚、現在の横浜エリアの求人市場においては、経理スタッフ~経理課長クラスの求人数が最も多く、35歳前後までの若手スタッフを対象とした求人は全体の60%程にも達しています。
横浜の転職マーケット 今後のトレンドは?
今後の数年間、横浜エリアの経理・財務系職種の転職市場においては、人材不足状態が続くことで売り手市場化の流れが更に強まっていく事が考えられます。特に経理・財務系職種の即戦力採用は企業側にとっても至難の業になるでしょう。
そこで考えられるのが、ポテンシャル採用の強化です。現在、東京の転職市場では、経理の実務経験がない公認会計士や税理士、また上記資格の受験者などをポテンシャル採用するケースが増えています。また、若年層で簿記資格を持っている方(実務未経験)も採用対象となりつつあります。その流れが横浜エリアにも徐々に浸透してくるのではないかと考えられます。
【この記事を読んだ方におすすめのサービス】
◆≪会計業界の転職はプロにおまかせ!≫無料転職サポートサービスとは?
◆≪転職で譲れないポイントを相談&発見!≫無料転職相談会・無料転職セミナー
(文/シニアコンサルタント)