米国のピュー・リサーチ・センターが2015年5月に発表した調査によれば、米国の労働力人口の3人に1人は、ミレニアル世代(2015年に18〜34歳になる世代、約5,350万人)となり、ベビーブーム世代(2015年に51〜69歳になる世代、約4,460万人)やジェネレーションX世代(2015年に35歳から50歳になる世代、約5,270万人)を初めて抜いたことが分かりました。
ミレニアル世代は情報リテラシーに優れ、イノベーションに対する受容性が高く、また社会貢献やボランティアに関心が高い世代です。
長く続く不況期の中で幼少時代を過ごし、社会に出てからもリーマンショックなどの大不況に見舞われたため、経済成長に懐疑的。高い給料の仕事よりも有意義な内容の仕事を求め、転職に抵抗を持たないという労働価値観を持っているといわれています。
日本のミレニアル世代と労働価値観の変化
日本のミレニアル世代にも、米国のミレニアル世代と同様の傾向があるといわれています。それ以前の他の世代とは異なり、出世し高い収入を得ることよりも、ワークライフバランスを重視する独自の価値観を持っています。
これまで社員の離職、特に転職に際し「辞める人=会社の利益にならない人」とネガティブに見られがちでしたが、このような労働人口の世代交代や流動化に伴い、離職者の人脈を組織化し活用する動きがあります。
離職者を「アルムナイ(Alumni=卒業生)」と呼び、アルムナイたちを組織化・ネットワーク化することで、再雇用の機会を作ったり、人材紹介や新たなビジネスの橋渡しとしたりするケースがあります。
Big4のアルムナイ・システム
Big4と呼ばれる4大会計事務所でも「アルムナイサイト」などを用意し、今後のビジネスチャンスへつなげています。
ロンドンを本拠地にしている国際的大手コンサルティング会社、「PwC(PricewaterhouseCoopers/プライスウォーターハウスクーパース)」のアルムナイサイトは、2012年1月の設立以来、アルムナイ相互の交流を支援することを目的に、年1回のアルムナイ親睦会開催の支援、コンサルティングファームが主催する研修プログラムへの参加案内といった活動を行っています。
こちらもロンドンを本拠地にし、世界各国で会計・税務・アドバイザリー・サービスなどの事業を展開している「EY(Ernst&Young/アーンスト・アンド・ヤング)」は、2013年度にアルムナイサイトを設立しました。機関誌の発行、定期的な懇親会や研修会の開催、交流サイトの開設などの活動を展開しています。
オランダに本部がある国際的な会計事務所の「KPMG(ケーピーエムジー)」も、ニュース配信、登録メンバーからのお知らせ発信、支部会(小コミュニティ)内のコミュニケーションサイト、登録メンバーのプロフィール掲載・検索機能を付け、またCPE単位を取得できるeラーニングシステムといったコンテンツを提供しています。
ニューヨークに本部がある国際的な会計事務所「Deloitte Touche Tohmatsu(デロイト・トウシュ・トーマツ)」通称「Deloitte」は、アルムナイ専用のアプリ(英・仏・独・西・伊・葡語のみ)を開発しました。アプリでは、アルムナイ同士のネットワーキング機能の他にも、アルムナイが執筆した出版物やイベント、機関誌などを無料でダウンロードできるようになっています。
労働人口の流動性の高い米国では、アルムナイネットワーキングが盛んで、同窓会開催だけでなく、アルムナイに対しホテル宿泊・飲食店料金割引などの制度だけでなく、プレゼント企画などを設け、アルムナイ・コミュニティを盛り上げる企業もあります。
日本はまだ定年退職者対象のOB会が多い印象ですが、過去に勤めた企業にアルムナイ・システムがある方は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
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