さて、前回は公認会計士ながら自分の趣味の世界で起業された方をご紹介しました。
今回は現在、公認会計士登録はしていないのですが、何と会計士からM&Aファーム、ベンチャーCFOを経て英会話事業を起業された方のキャリアをご紹介したいと思います。
監査法人に入所するものの非監査部門へ
この方は大学卒業後、会計士の受験専門学校に進み公認会計士試験に合格した後、監査法人に就職しました。ここまではよくあるキャリアに見えると思います。
しかし、他の方と少し違うのは監査法人への入所にあたり、監査部門ではなく会計アドバイザリー部門へ進んだということです。
今でこそ、監査法人のアドバイザリー部門は人気があり、最初からアドバイザリー部門に進む方も少なくなくなったと思います。ですが少し前までは、「会計士になったらまずは監査でしょ」と監査部門に進むのが定番でした。
そのような中、アドバイザリー部門を選択したのは「会計よりも営業をやってみたい」という気持ちがあったからだったようです。
もともとこの方はサイバーエージェントの藤田社長の本に感銘を受けてビジネスに興味を持ち、公認会計士を目指すことにしたといいます。会計士=監査ではない、という考えを持っていたのでしょうね。
このような考えは、皆さんがキャリアについて考える際にも参考にできるのではないかと思います。
「営業はしたくない。見知らぬ人への提案や交渉は苦手」という方は、監査業務は合っているかもしれません。「営業をやってみたい」という方は、アドバイザリー業務など挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。
余談ですが、どの世界でも営業力というのは大事です。監査であっても、クライアントとの関係から「営業力=コミュニケーション力」が求められます。
さて、アドバイザリー部門に入社したことで、この方は多忙ながらも幅広い経験を短期間で積むことができたようです。
監査法人からM&Aファーム、ベンチャーCFO、そして起業へ
その後、この方は監査法人からM&Aファームへ転職をしています。
監査法人で仕事をしていくうちに、もっとビジネスに近い環境で仕事をしてみたいという意向が生まれたことがきっかけだったようです。
よく「会計士になったら監査法人で6~7年は経験を積むべき。少なくともインチャージを務めてから転職をするべき」という意見を聞きますが、そうとは限らないのかもしれません。
自分がやりたいことが明確になっていて、目的意識を持ってなされた転職は、たとえ経験不足の状態であってもアリなのかな、と思います。
この方の場合、「いつかは起業をしたい」「CFOになりたい」という思いがあったことから、M&Aファームからさらにベンチャー企業へ転職します。
この転職においては、自分からベンチャー企業の社長へ連絡を取り、最初は無報酬でいろいろな会社をお手伝いしてベンチャーの世界に飛び込んでいったと聞いています。
そして、最終的には当初の目標に合わせ、自身が持っていたアイデアである英会話事業で起業を果たし現在に至っています。
会計士試験に合格すると多くの方は「とりあえず監査を数年やろうかな」と考え、将来のキャリアについては「修了試験に合格してから考えよう」という方も多いかと思います。でもそれでは時間がもったいないですよね。
ぜひ、この方のようにしっかりと目的意識を持って、新しい領域に飛び込んでいってみてください。
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(文/江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史、記事提供/株式会社エスタイル)