会計で仕事をしていると気になってしまうのが企業の倒産ニュース。企業は継続することが何より大事ですので倒産は避けたいもの、避けなければいけないもの。しかしながら今や有名な会社であっても上場会社であっても倒産が起こる不透明な時代となりました。
近年はアベノミクスの始動を受け、ようやく日本経済も回復基調となり、企業の倒産件数も減少傾向にあるようです。
2015年の企業倒産件数は1万件割れ
昨年(2015年)1年間の企業倒産件数は1月~11月で8,113件でした。12月の件数は、2016年1月初旬時点で600件台の見通しであることから1万件割れは確実であり、12月の倒産件数によっては年間の企業倒産件数は9,000件を下回る模様です。
上記グラフのとおり、リーマンショックによる金融危機以降、大企業を中心とした業績回復や金融機関の返済猶予対応などにより企業の倒産件数は減少傾向にあります。
2016年はまだ始まったばかりですが、このまま企業の倒産件数が減少してくれると嬉しいですね。
「スマホ倒産」 スマホの普及が業界を変え、倒産に至ることも
全体として倒産件数は減少傾向にありますが、業界によっては苦しい経済環境に陥っているようです。日本経済新聞によると「スマホ倒産」というタイプの倒産が増えているとのこと。
この「スマホ」倒産とは、スマートフォンの普及が業界構造を変え、経営に影響を及ぼし倒産に至る事例のことです。
今やカフェの中でも電車の中でも、歩きながらでもスマホを手にする人が当たり前の風景となりました。
そうなると本は出版物から電子書籍に代わり、ゲームはゲームセンターやゲーム会社の専用機器からスマホゲームに代わり、リアル店舗でのショッピングはECサイトにおけるネットショッピングへと代わっていきます。
その結果、スマホにとって代わられる業界は業績に大打撃を受けます。
例えば出版業界では、2014年に46件の倒産が発生し、前年の倒産件数30件を上回る企業が倒産に至りました。確かに近年は雑誌の休刊のニュースが目につきますね。
アパレル業界も、ネットショップ・ECサイトの普及によりリアル店舗を有する企業が苦戦し、昭和28年創業の婦人靴チェーン店を展開する株式会社アカクラが倒産に至りました。
ゲームセンターを運営する昭和58年創業の株式会社ザ・サードプラネットが倒産に至ったのも、リーマンショックによる景気減退などの影響に加えて、近年のスマホゲームによる影響も強くあったとみられています。
スマホの登場が業界の構造をここまで変えてしまったのは脅威ですね。IoT(Internet of Things)という言葉が叫ばれ、これからますます多くの物がインターネットにつながる時代、これからどんな業界構造の変化が起こるのでしょうか。
ダーウィンが残したと言われる「最も強い種が生き残るのではなく、最も賢い種が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる種である」という言葉を常に意識して事業を展開していかなければならない時代ですね。
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(文/江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史、記事提供/株式会社エスタイル)