高齢者や障がい者の身元保証、成年後見人制度に基づく支援などを行う公益財団法人日本ライフ協会(東京都港区、浜田健士代表理事)。当協会が、会員の高齢者から将来の葬儀代として預託金を集め、このうち約2億7,400万円を流用したとして、1月15日に行政勧告処分を受けました。さらに4日後の19日、全理事が引責辞任したことが分かりました。
厚生労働省の発表によれば、65歳以上の高齢者のうち、認知症を患う人の数は約462万人(2012年)。2025年の認知症患者数は、その1.5倍となる700万人超であろうと予測しています。これは65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となり、認知症は身近な問題となることが予想されます。
成年後見人制度とは
家族が遠方に住んでいたり、身寄りがなかったりする認知症患者には、成年後見人制度が適用されています。成年後見人制度は、認知症、知的障がい、精神障がいなどの理由で判断能力が不十分な人々を保護し、法律的に支援する制度です。
近親者が成年後見人を務める場合がほとんどでしたが、被後見人の被相続人となる子供が被後見人の財産を使い込んでしまうケースが続出したため、2000年4月に介護保険法と同時に成年後見関連法案が施行されました。
非親族が成年後見人に選任される割合は、2012年には51.5%(前年44.4%)となり、初めて親族の割合を上回りました。現在、弁護士や司法書士といった「専門職後見人」が多く存在します。
一度成年後見人に選任されるとその権力は絶大です。いくら被後見人の家族であっても、成年後見人の同意がなければ被後見人の財産を使うことができません。
成年後見人制度における税理士の役割
成年後見人の職務には、「療養看護」と「財産管理」があります。「療養看護」は、被後見人の介護契約や医療契約などの代理権を行使し、「財産管理」は、被後見人の財産関連の法律行為についての代理権を行使します。
「療養看護」は、専門的な知識を重視するというよりも被後見人個人の生活自体を重視した職務であるといえます。成年後見人一人で完結することはほぼ不可能で、地域や福祉のサービスといった周囲の協力を要しますが、税理士は成年後見人としての役割を十分に発揮できるといえるでしょう。
「財産管理」は、被後見人の財産目録を把握し、一定期間の取引を集計・分類・記録し、定期的に報告するなど税理士にとっては本質的な業務のひとつといえます。
日本税理士会連合会(日税連)は、成年後見人制度を税理士の公益活動のひとつと位置づけ、2011年7月、日税連成年後見支援センターを設立しました。
同センターは、全国各地に設置されている税理士会成年後見支援センターの連合体としての役割を担い、定期的に地域の税理士会(支援センター)における指導者を養成するための研修を行っています。
また、地域の税理士会でも成年後見人制度に関する研修を実施し、その修了者が記載された推薦者名簿を成年後見人の候補者として各地の家庭裁判所に提出するなど、積極的な支援策を推進しています。
これまでの成年後見人制度の中心は、司法書士の成年後見センター・リーガルサポートや弁護士会でしたが、税理士も質の高い制度運用が可能です。日税連成年後見支援センターを通した今後の税理士の活躍に期待したいところです。
参考
厚生労働省ホームページ 認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」について
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12304500-Roukenkyoku-Ninchishougyakutaiboushitaisakusuishinshitsu/01_1.pdf
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