「税理士記念日」の2月23日、全国15の税理士会では、無料税務相談、講演会、税金セミナーなどを実施しました。日本税理士会連合会(日税連)によれば「税理士記念日」は、税理士法の前身である「税務代理士法」が1942年2月23日に制定されて「税理士法」となったことを記念したもので、税理士の社会的使命と税理士職能の重要性を再確認するとともに、国民・納税者に対して、申告納税制度の普及と税理士制度の社会的意義を周知することにあるといいます。
それでは、今回は「税理士法」について、その歴史を見ていきたいと思います。
前身は「税務代理士法」
1894年の日清戦争、1904年の日露戦争ごろから、日本の税制は土地を対象に賦課する地租から、商工業者にも税負担を求める税制に移行していきました。当時は、国が国民の税額を計算し、納税者に通知していたようです。1937(昭和12)年の日中戦争から第二次世界大戦の時期にかけて、増大傾向の戦費を補うため、度重なる増税がなされ、税制度は複雑化していきました。
こうした中、専門の知識を有する者に、税金の相談や手続の代理を依頼する納税者も増加。その反面で、税務官吏の多くが兵員として出征していたことから人員不足に陥るとともに、悪質な税務代理業者の出没による不正・不当な業務の横行も問題となっていきました。
このような背景から、1942年2月23日、現在の税理士法の前身となる税務代理士法が制定され、大蔵大臣が一定の資格を持つ者に税務代理士の許可を与えました。
以降、税務代理士業務を行う者は税務代理士に限定されたため、資質の向上と監督の充実が図られました。
「税務代理士法」から「税理士法」へ
第二次世界大戦後、日本国憲法の公布(1946年)、公認会計士法の制定(1948年)などがあり、これまでの賦課課税方式から、国民が自ら税額を計算し申告する申告納税方式が採用されるなどの見直しが行われました。
1949年に来日したコロンビア大学教授シャウプ博士を団長とするシャウプ税制使節団が作成した報告書(シャウプ勧告)では、納税者の代理人として適正な税務行政を行うため、税務代理士の大幅な水準の改善の必要性を説きました。
この勧告を受け、中正な立場に立ち、納税者の適正な納税義務の実現を図ることを目的として、1951年に新たな制度「税理士法」が制定されました。
税務代理士法では許可制度でしたが、改正後の税理士法では、資質向上のため試験制度を導入しました。
税理士の今日
税理士法が制定されてから長い間、税理士の広告が規制されていましたが、2002年の税理士法改正で広告規制が撤廃となり、税理士の広告が原則的に自由化されました。
これにより、以前は一度顧客と契約したベテラン税理士は顧客獲得や保持に有利でしたが、広告を利用することで積極的に潜在的顧客にアピールでき、経験の長短にかかわらず、顧客獲得のチャンスを得られるようになりました。
2016年2月末現在の税理士の登録数は、約75,000人です。日税連前会長の池田隼啓氏によれば、「税理士は中小企業のホームドクターであると同時に、相続・贈与・財産管理の専門家であり、万が一のときも本人の意志に沿った的確なサポートができる」といいます。相続税の改正により相談件数が増えている今、税理士の今後の益々の活躍に期待したいところです。
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