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【コラム】五輪選手の育成には、税金が使われている?

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【コラム】五輪選手の育成には、税金が使われている?

リオデジャネイロ五輪においてバドミントン男子の金メダル候補として期待されていた桃田賢斗選手と、ロンドン五輪の代表選手にも選ばれていた田児賢一選手が、違法カジノ店で賭博行為を行っていたという出来事は、大きなニュースとして国民に知れ渡りました。
この不祥事を受けて、JSC(日本スポーツ振興センター)は二人の選手に支給された助成金の返還請求も含めて検討したいとしています。

今回の例であれば当然ながら、真面目に努力をしているスポーツ選手たちであっても、国からの助成金でスポーツをすることで批判にさらされてしまうケースもあるようです。

五輪選手にかけられる費用は税金か?

日本では五輪での活躍が見込める選手に対して、強化育成を目的とした助成金を給付しています。
選手強化費と呼ばれるこの助成金は、かつては他の先進国に比べて格段に低い金額でした。厳しい風向きが変化するきっかけになったのは2013年。この年に、2020年の東京五輪とパラ五輪開催が決定したからです。

2014年まで選手強化費は日本オリンピック委員会(JOC)が担っていました。しかし2015年10月1日に文部科学省の外局としてスポーツ庁が設置され、スポーツ庁から費用が交付されることになりました。スポーツ庁は文部科学省、JOC、JSC、日本パラリンピック委員会、日本体育協会などが一つにまとまり、選手強化や施設整備をするのが狙いです。2020年の東京五輪・パラ五輪でのメダル獲得も目的の一つです。

スポーツ庁の予算額は年々増資され、2015年度の予算額は約290億円でしたが、2016年度の概算要求額は約367億円となっています。中でも選手強化活動支援、若手選手の発掘・育成を行う「競技力向上事業」については、前年度の予算額は74億円でしたが、2016年度は103億円を割り当てています。

予算の増額が選手に及ぼす負担とは

育成にかかる費用が格段に増えて、五輪を目指す選手の環境は改善されるかもしれません。と同時に多額の税金が投入されたことにより、国民の選手を見る目が変わってくる可能性もあります。

実際に、2014年に行われたソチ五輪において、充分な結果を残すことができなかった選手に対し、インターネット上では「遊びに来たの?」「メダルを取れない選手は税金泥棒」などといった、容赦のないコメントが大量に飛び交っていたのです。
こうした批判が生じる背景には、「選手の強化費は国費がまかなっているのだから、結果を出すのが当然である」という風潮が存在しているのは間違いないでしょう。

ソチ五輪に参加した選手たちは、予算が増額される前の不利な状況でトレーニングを続けてきた人たちです。その何倍もの育成費が投じられているリオデジャネイロ五輪や東京五輪に参加する選手たちには、さらに厳しい視線が向けられることでしょう。

もっとも理想的なのは、選手たちが国の支給に頼らず技術を磨いていける仕組みができることでしょう。現にアメリカのスポーツ選手には、個人の寄付などによって活動を続けている例が多いそうです。2020年の東京五輪をきっかけに、選手たちがお金を気にせずスポーツに専念できるようになることを期待するしかありません。

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