涙ぐましい努力を重ねてようやく手にした公認会計士の資格。かつては公認会計士の人数もまだ少なく、儲かる仕事だと言われていました。しかし現在は人数が飽和状態にあり、業界内でも生き残りをかけた競争が激しくなっているといいます。そのような中で、公認会計士はどうしていけばいいのでしょうか?
会計士が必要とされる理由とは?
最近では、「弥生会計」や「freee」「MFクラウド会計」などの優秀な会計クラウドが機能を充実させてきており、個人事業主や中小企業などの利用が増えています。「freee」「MFクラウド会計」は利用事業所がそれぞれ40万以上、弥生会計も利用事業所は約10万と推定されているようです。そのため、会計士がすべき業務はますます少なくなる一方と言えるかもしれません。
しかしそうは言っても、会計士の果たす役割はまだまだ大きいと言えます。
たとえば、会計士の独占業務として財務諸表監査がありますが、なぜ監査を実施する必要があるのでしょうか。
企業が作成した財務諸表は、企業関係者に公開する前にそれが適正であるかを公認会計士が確認します。
財務諸表監査の目的は、企業の経営者が作成した財務諸表が適正か否かの意見表明です。適正ならなんら問題はありませんが、不適正ならばそれは粉飾決算となります。
この世から会計士の仕事がなくなれば、資本家から経営者への財産の委託ができなくなるので、経営者は会社経営のための運転資金に困ってしまいます。その結果、株価がつかなくなったり、企業の資金調達が出来なくなったり、企業の資金調達コストが大幅に上がったり、ということが起こり得ることでしょう。
つまり、現代の資本主義経済がうまく回っていくためには、会計士の存在が必要不可欠なのですね。
これからの会計士に求められるのは、付加価値の提供
細かい数字の入力やチェックを会計クラウドが担ってくれると、それだけ煩雑な業務が減り、もっと経営状態を俯瞰的に見えるようになります。そうすれば、経営状態の問題点や、業績の改善に関わるような重要な数字にもっと早く気づけるのではないでしょうか。
海外では、「やりがいのある仕事」として会計士の人気が高まっているようです。企業の60〜70%で会計のクラウド化が進んでいるというイギリスでは、「会計士がもっと付加価値の高いサービスを提供してくれるのならば、もっと高い顧問料を払っても良い」と考えられているそうです。また、ニュージーランドでも会計ソフトのクラウド化によってかえって業務効率が上がり、クライアントによりレベルの高いサービスの提供ができている会計事務所もあるのだとか。
これからの公認会計士に求められるのは、単なる数字のチェックではなく、高い付加価値の提供です。具体的には、取引先との良好なパートナーシップを築くための方法の提案や経営状況の分析、業務改善のためのアドバイスやコンサルティングなどが挙げられます。会計基準や監査基準が変われば、それを経営者に説明することも必要になるでしょう。
ひと昔前まで企業の寿命は30年と言われていましたが、今ではたったの7年です。そんな時代に生きる公認会計士の役割として、財務諸表を紐解くことによってクライアントの思惑を汲み取り、経営改善に向けて経営者とともに取り組むことができるかという姿勢が問われています。
資本主義経済を陰から支え、企業の存続に貢献するという点でも、まだまだ会計士の存在は必要不可欠と言えるのではないでしょうか。
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