突然ですが、上記グラフの「●●申告の経験者」、皆様は何を指すものかわかりますか?
実はこのグラフは、30歳前後(27歳~33歳)の税理士有資格者の中で、『相続税申告書作成』の経験者を示しています。
今回は、比較的近しい経験になりがちな30歳前後の税理士資格者の中で、4人に1人しか経験していない相続税申告書作成について、その希少性と市場価値についてまとめました。
まだまだ少数派、相続税申告経験のある税理士
今回の調査は弊社サービスをご利用いただいている27歳から33歳の税理士資格保有者の中から母集団を抽出し、調査をした結果になります。すると、調査対象者のうち相続税申告書の作成経験者は25.1%ということが分かりました。
つまり、アラサー税理士の74.9%は相続税申告書の作成経験がないことになります。したがって、相続税申告書の経験があるアラサー税理士は少数派であり、その結果、一般的な税理士資格保有者と比較しても希少性が高いと言えるのではないでしょうか。
<調査概要>
・対象年齢…27~33歳
・保有資格…税理士資格(未登録は除く)
・相続税申告書の作成経験者…25.1%
※2017年5月18日時点
※今回の調査は当社(株式会社MS-Japan)の転職サービスにご登録を頂いている税理士資格保有者を対象としています。
資産税の経験を積むと市場価値が高まる?
平成27年の相続税・贈与税の税制改正以降、資産税領域のビジネスを拡大させる会計事務所が増加しました。その結果、今まで以上に資産税の実務経験者は転職市場で評価されるようになってきています。また、近年、証券会社や信託銀行においても、相続対策や事業承継対策の分野をコンサルティングサービスと位置づけ、本格的に自社の顧客にアプローチをしていく傾向が見られます。このような流れの中で、資産税の実務経験者は専門的な知識やノウハウを評価され、採用をされている状況です。
また、直近の転職市場の傾向かもしれませんが、資産税特化型の会計事務所に転職を希望した場合、以前のように税理士資格が必須ではなくなっているように感じます。上記の税制改正前であれば、税理士の中でも「相続税法の合格」と「相続税申告の経験」は必須条件でしたが、現在の転職市場においては、税理士資格か相続税申告経験のいずれかがあれば、比較的内定を獲得しやすい市況感だと言えるでしょう。つまり、この数年間で資産税の実務経験を積んだ方は自ずと市場価値も高まっていると言って良いかと思います。
資産税業界にも幾つかのタイプがある
資産税に強い会計事務所の中にも幾つかのタイプがあります。例えば、一般的な相続税申告に強い会計事務所。資産家の生前対策、資産保全に関するコンサルティングを強みとする会計事務所。その他、法人の事業承継に強い会計事務所など大きく分けても資産税に強い事務所は3パターンに分類できます。
1. 相続税申告に強い会計事務所
2. 生前対策に強い会計事務所
3. 事業承継コンサルティングに強い会計事務所
因みに会計事務所の業界で一般的なのが1のタイプ、既存顧客や紹介を受けた相続案件を問題なく申告までサポートするのが主なミッションとなります。2に関しては、相続税の知識のみならず、資産の有効活用・組み換えなどの提案もすることが多く、1の会計事務所とは若干毛色が異なります。3に関しては、比較的規模の大きな法人クライアントに対して、株価対策も兼ねて組織再編(合併・分割)なども行いますので、法人税の分野も必須になります。このように資産税に強い事務所にも幾つかのタイプがあると認識しておくと良いでしょう。
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(文/シニアコンサルタント)