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時代の先を読むには「女性」と「数値」に関心を【コラム】

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 時代の先を読むには「女性」と「数値」に関心を【コラム】

一般に、多くの人々が企業を一流と認める基準とはなんでしょうか?「知名度」や「イメージ」、「業績」、「規模」等々、企業を判断する指標は様々ですが、これからの時代、「女性」をキーワードとした新たな指標が注目を浴びそうです。

女性活躍推進に向けた動き

政府は6月9日、『男女共同参画白書平成29年版』を閣議決定しました。白書とは、様々な行政分野ごとに政府が直面する問題点とその解決に向けた取組状況などについて取りまとめたものですが、今回紹介する『男女共同参画白書平成29年版』(以下、「白書」)は、女性職員や女性管理職の人数、育児休暇の取得率など、いわば「女性にとっての働きやすさ」の公表を義務づけた「女性活躍推進法」をテーマとして取り上げています。

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(「女性活躍推進法」)は2015年8月に成立した法律です。この「女性活躍推進法」は、301人以上の労働者を常時雇用する企業に対し、女性が活躍できる環境の形成にむけて進めていくための目標や具体的な行動計画を定めること、政府が定める項目のうち一つ以上の情報を公開することを義務付けたものです。
さらに、この法律に基づき、内閣府は「女性の活躍『見える化』サイト」を開設し、鉱業や小売、鉄鋼や食料品といった業種ごとに企業を分類し、それぞれの企業が公表している女性の雇用状況について公開を始めました。現在は、内容をそのまま厚生労働省に移管し、企業における女性の活躍状況に関する情報を一元化した「女性の活躍推進企業データベース」として、公開を続けています。

このサイトを見ると、各業種ともに、一般的に大企業とされている企業や知名度が高いとされている企業が積極的に公開している状況が読み取れるようです。一方で女性の採用や登用に積極的な企業も多数あり、このような企業による情報の積極的な公表は、企業イメージの向上や、新卒や結婚・出産後を問わず女性にとっての働きやすさのアピールとなることが多く、男性でなく優秀な女性の労働力確保が図られ、ひいては企業の活力の向上につながるものと言えるのではないでしょうか。

女性の働きやすさが「見える化」される時代へ

会計士は、顧客である企業の収入や支出を記録した財務書類を詳しく精査し、その記載内容に誤りがないかをチェックすることをその主な業務としてきました。しかし、現代社会において、時代性を備えてコンサルティング業務を行っていく公認会計士には、企業の経営に関するアドバイスにおいて、時代の先を見据えつつ新たな視点に立つことが必要です。このような状況においては、「女性の働きやすさ」が企業の評価につながり、ひいては企業の経営状況をも左右する時代がやってくるかもしれません。

現在、我が国は少子高齢社会の進展に伴い、労働力の確保が喫緊の課題となっています。一方、女性の社会進出は進みつつあるものの、依然として、結婚・出産後に復職する女性の多くは、非正規雇用となる場合が多いなど、諸外国に比べ女性の社会参画の面において著しく遅れています。
このような状況において、安倍政権は、自己実現が可能な社会の形成という観点から、「働き方改革」の一つとして、女性が自らの能力を発揮できる環境を整備していくことを重視しており、この流れは、今後、ますます加速するものと思われます。
「女性にとっての働きやすさ」という観点から企業が評価をされる。こうした新しい時代はすぐそこまで迫っています。白書や官公庁系のホームページから入手できる指標や数値も積極的に活用し、こうした現実を踏まえたコンサルティング業務を行うことが、これからの公認会計士に求められているのではないでしょうか。

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